なによりも助かるのは、普通の道に比べて涼しいことだ。涼しいといっても標高がいちばん高い所でも100m足らずなので、気温は平地と変わらない。ではなぜ涼しく感じるのだろうか。走りながら考えてみたところ、3つ大きな理由が思い浮かんだ。涼しいと感じさせる最大の理由は、「夏のギラギラ太陽を樹々が遮ってくれる」から。日向より木陰のほうが涼しいに決まっている。
2つめの理由は「地面からの熱が少ない」こと。これは一万歩コース上の地面が土か砂利か腐葉土(一部アスファルト)であり、なおかつ直射日光にさらされないため、あまり熱を吸収しないことによるのだろう。炎天下のアスファルト上は熱くて、とても裸足で歩けない。逆にいえば通常のロードワークでは、日光と地熱がダブルパンチで襲ってくるから余計に暑く(熱く)感じる。
3つめの理由は「森林浴効果」。気のせいかもしれないがトレイルに入ると、すぅーっと自分の周囲が浄化されて爽やかな空気に包まれたような感覚になる。この心地よさ、単に精神的なものなのだろうか、それとも科学的に証明されているのだろうか。
Wikiによると「森林浴効果」とは、『樹木が発散するフィトンチッドと呼ばれる物質が作用しているとされる。特にマツ、ヒノキなどの針葉樹林ではフィトンチッドの発散量が多く、免疫力の向上などに寄与するという論文が発表されている』とのこと。さらには『森林の空気は排気ガスなどが含まれる都市部の空気より体に優しい』『樹木の香りが心を落ち着かせ、リラックス効果をもたらす』『枝葉のさわめきが1/fの揺らぎを持っているので気持ちが安らぐ』といった効果が考えられるのだとか。この森林浴効果に目をつけ、療法として活用している「森林セラピー」というものも存在するらしい。
さて、「東山一万歩コース」にはいちおうスタートとゴールが設定されているが、あまり意味はない。途中からいくらでもコースに入れるので、好きな所から走り始めればいい。コース上のいたる箇所に案内板が立っているので迷う心配は99%ない。たとえ迷ったとしても里山一体の面積が狭いのでたかがしれている。適度なアップダウンはあるものの、最高地点の標高がそれほど高くないので絶景は望めない。せいぜい高層ビルからの眺め程度だろうか。
こんな橋の下もコースの一部。
コース上にシングルトラックはほとんどなく、おおむね幅広で走りやすい。休日にはハイキング(散歩?)している人がけっこういる。後ろから追い抜く際は存在アピールを忘れずに。ロードワークに組み入れやすいため、ランナーにもよく出会う。距離が「物足りない」と感じたら、動物園正門前の広い道を横断して「平和公園」へ向かうといい。この周辺にも自然豊かなトレイルが広がっている。
愛知県の奥三河あたりでたびたび熊が目撃されているが、さすがに東山一万歩コースには棲息していないと思われるので遭遇する危険性は皆無だろう。もし出会ってしまったとしても、それは東山動物園から脱走してきた熊に違いないので人に慣れているはずだ。安心してランニングを続けよう。
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