それは今がちょうど「夏仕様のカラダ」への移行期だから。この時期はまだ暑熱馴化(しょねつじゅんか)が完了していないため疲労感が倍増します。
日本生気象学会がまとめた「熱中症予防提言」によると、『5月-6月に、「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる運動を1日30分間、1-8週間実施すると暑さに強い体になります』とのこと。
つまり、真夏を乗り切ってスムーズに秋のマラソンシーズンを迎えるためには、今が勝負どころというわけ。
ただ、4月あたりから徐々に暑熱馴化していくのは、市民ランナーにとって当たり前の話。では、暑熱馴化とはいったい何なんでしょうか。「体が暑さに慣れる」とは、いったいどのような状態に変わることを指すのでしょうか。
先の提言によると、熱中症を予防するには『血液量を増加させる』ことが有効であるとしています。しかも、1回に300〜500mlの汗をかくような運動を数週間続けるだけで、なんと血液量が200〜300ml増加するというから驚きです。
さらには『運動後の30分以内に高い糖質(15-30g)と蛋白質(10-20g)を含むミルクなどの食品を摂取すると、その効果が倍増する』とも。結果として、『この程度の血液量の増加で体温調節能が20-50%も改善する』と結んでいます。
では、「なぜ血液が増えると熱中症予防になるの?」という疑問がわいてきます。このあたりもぬかりありません。日本生気象学会の提言の解説をまとめると・・・
人間は心臓に戻ってくる血液量を絶えずモニターしており、低下した場合は瞬時に皮膚血管拡張を抑制。これにより発汗量も低下→皮膚表面からの熱放射が減少→熱中症に陥る・・・というわけ。
だから『血液量を増加させることで心臓から拍出される血液量に余裕ができ、その分、体温調節能が改善する』んだそうです。本格的な夏を迎える前に、ガンガン走って血を増やしましょう!
■『』内太字は日本生気象学会の「熱中症予防提言」より引用。
<お知らせ>
名古屋ランニングジャーナルfacebookページ開設!
●『改訂版 名古屋みちくさランニング』発売中!