所属している企業の陸上部が3月いっぱいで活動満了となり、4月から東京・西葛西に拠点をおくことが決まった大南姉妹と高橋監督。16年もの長きにわたってここ愛知を拠点に活躍してきたこともあり、今回のマラソンは「第二の故郷への恩返し」という気持ちでのぞむことを公言していました。そしてなにより、現在のチームスタッフと共に戦う最後のビッグレースになることも、彼女の積極果敢な走りを後押ししたに違いありません。
スタート直前の表情。リラックスしているようです。
12時15分、ついに号砲。一般参加を含む300名以上の選手を引き連れ、序盤から矢のような攻めの走り。
さて、私の観戦ランもスタートです。選手達が競技場から出て行くのを見届けたあと、先回りして阿由知通に移動。
6キロ地点付近。大南選手のトップはかわらず。第一集団はあっというまに過ぎ去っていきました。もちろん加納選手、脇田選手もトップグループの一員です。
その後、一眼レフ片手に13km地点付近まで移動。このポイントにはいつもあの小出監督がいるのですが、今回もやはりいらっしゃいました。監督の近くでこそっと聞き耳をたてていると、「この暑さだと飛び出すのに勇気がいる」、というような話をされていました。
やがて大きな中継車が見えてきました。相変わらず大南選手がトップです。その後ろに、ムダのない美しいフォームで加納選手。一昨年はこの地点で高橋Qちゃんが第一集団に入っていなくて驚いた記憶があります。
トップ集団を見送った後、地下鉄の誘惑を振り切って桜通大津まで走って移動。さすがに一眼レフはバックパックに入れて走りました。桜通大津に到着したころには、すでにトップ集団がミニ周回の2周目に入るところで写真撮影間に合わず。作戦を変更し、33km地点でトップ集団を撮影後、地下鉄で瑞穂競技場まで戻ることにしました。のりものに乗るのは観戦ランのルール違反ですが、フィニッシュに間に合わないので仕方ありません。
やがて14時過ぎ、中継車のあとに現れたのは大南選手ではなく加納由理選手でした。そのあとに続く選手は・・・これまた大南選手ではなく新鋭の伊藤舞選手。
その十数秒後でしょうか、大南選手が3位で33km地点を通過。みたところ疲れた表情はしていませんし、序盤の積極性も消えていないように見受けられました。まだまだあきらめるのが早いことは、彼女自身いちばんわかっているでしょう。
すぐに久屋大通駅で地下鉄に乗り込み、フィニッシュ地点の瑞穂陸上競技場へ。ちなみに同じ車両に加納選手が所属するセカンドウインドの川越監督と尾崎朱美選手が乗っていました。
駅に着くと同時に猛ダッシュで飛び出していく川越監督たちの後を追いかけるようにコース沿道へ。ラスト1km地点にいらっしゃった高橋監督によると、いちどは4位に後退した大南選手が再び3位に浮上したとのこと。
トップはやはり加納選手。相変わらずまったくブレがない研ぎ澄まされたフォーム。もう優勝はゆるぎないでしょう。その後から来たのは、37才のデラルツ・ツル。いったいいつのまに2位に浮上していたのでしょうか。恐ろしいほどの追い上げです。
そして3位の大南博美選手をしっかりカメラに収め、私自身も競技場までラストスパート敢行。果たしてフィニッシュの瞬間に間に合うか・・・。
駆け上がったスタンドからトラックを見下ろすと、大南選手がちょうど最後の直線に入ったところでした。笑顔です。もう順位やタイムなど関係ありません。現チームとして、愛知拠点として、最後の国際レースを無事にゴールできる。そんな喜びオーラがあふれていました。
両手を高々とあげてのフィニッシュ。堂々の3位入賞です。
妹の敬美選手やチームスタッフとともに、観客の声援に何度もこたえていました。第二のふるさと愛知は離れますが、来年はまた名古屋のまちを走ってくれるでしょう。
これから高橋監督と大南姉妹は独自に練習を続けながらスポンサーを探す意向だそうです。優勝はできなかったものの、今回のレースを作ったのは紛れもなく大南博美選手であることは誰の目にも明らか。強烈なアピールになったことは間違いありません。
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