
たとえば佐倉春男(阿部寛)の死亡を決定づける墓参りシーンをカットして「もしかして生きてる?」みたいな雰囲気を漂わせるとか、ちょちょっと脚本を書き換えて続編に可能性を残すこともできたはずです。しかしあくまでも営業面ではなく物語優先で「佐倉春男の死」を選択したからこそ、いいドラマに仕上がったのだと私は思います。
病室で瀕死の春男とさち(大橋のぞみ)が二人きりになったとき、さちが春男に「お父さん」と呼びかけるシーンがあるんですが、このひと言を違和感なく言わせるための伏線やセリフ回しが非常に緻密に計算されていたように感じました。
普通、小さな子どもがお父さんでもない人を「お父さん」とはぜったいに呼ばないでしょうし、仮に呼んだとしたら滑稽&違和感アリアリです。しかし、さちに春男をお父さんと呼ばせることは、『白い春』というドラマにとってまさに命題。なんとしても、実の父親だと分かっていない状態で「お父さん」と呼ばせなくてはいけないわけです。
そこでまずは事前に、栞(吉高由里子)が「おじさんはさっちゃんの本当のお父さん(すぐに冗談だと否定)」と告げるシーンで伏線を張ります。そのあともさちに「お父さんが二人いるみたい」というセリフを敢えて無邪気に言わせ、さちの心理状態を視聴者に“説明”しました。
こうした細かな伏線やセリフがあっての「お父さん」というひと言だったので、視聴者は違和感を持たずにすんなり受け入れることができ、感動へとつながったのではないでしょうか。
キャストだけ豪華で脚本・演出が大味かつ「謎解き1話完結」型の薄い作品が多い中、久々によく練られたドラマだったと思います。「主人公の死」というある意味最悪の結末でしたが、私はなぜか爽やかさを感じました。
ところで、『白い春』最終回で心霊現象が起こったと噂になっていますね。映像を見てみましたけど、たしかにのれんの影から女性がじーっとカメラ目線で見つめています。YOU TUBEにUPされていますが明らかに著作権違反なのでURLは張りません。なんだかフェイクっぽいです。というか、フェイクでしょう。
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